2007年2月5日月曜日

トランスメディアーレ 2007

トランスメディアーレは毎年この時期にベルリンで行われるメディア芸術祭。今年で20年目を迎えるこのイベントのテーマは、今日情報メディアや新技術が発達し我々の生活圏にますます影響を及ぼす中で、芸術や日常をがどのように変容していくのかを見つめること、だそう。全体の構成は展覧会、講演、パフォーマンス、コンサート、映画上映会、クラブでの夜イベント等々多岐にわたっているのですが、私は最終日2月4日に展覧会を訪ねてきました。

メディア・クンスト祭りというぐらいだから先端技術の導入が目立つ見本市的な展覧会では? という予想に反して、今回 unfinish! と題された展覧会には技術的進歩と人間性を結び付けようとする少しアイロニカルでアナクロな、でもアートでしか出来ないような表現が目についた。そんなようなのをいくつか取り上げてみたいと思います。

Against God by Water Pistol
モーン・ナ (Moon Na 韓) による1分40秒のビデオ作品。雨の降る街角に作家自身が手に水鉄砲を持って立ち、それをゆっくりと天に向けて撃つ。発砲された水は雨と一緒になって再び本人に降りかかる。子供のおもちゃ “水鉄砲で神に逆らう“ (作品タイトル)。


Random Screen
アラム・バートル (Aram Bartholl 独) による 「ランダム・スクリーン」 と題された立体作品。縦横1メートルほどの大きさのライトボックス。ランダムに点滅する単体はコンピューターのピクセルやテクノクラブのデコレーションを思わせたりと、近未来なイメージ。ところが一歩背面に廻ってみると実は、蝋燭 (こちらの家庭でよく見られるお茶を保温するためのもの) の熱とその熱を利用して回転するように切り抜かれたアルミのビール缶が、不規則に点滅するライトボックスの仕掛けであるという種明かし。ハイテク/ ローテク、非日常/ 日常のアンビバレント。


Roots
ロマン・キルシュナー (Roman Kirschner 墺) の電極を利用した作品。茶緑色に濁った溶液で満たされた水槽の中で増殖し続ける金属結晶。その先端は気泡を発して植物のような有機的な変容を見せる (タイトルは 「根」)。アーチストはペルシャにおいて昔から見られるイメージ 「頭から生える木」 からインスピレーションを得たそう。展覧会カタログの説明によるとこの作品にはもう一つ50年代アメリカの人工頭脳学者ゴードン・パスクが考案した 「ケミカル・コンピューター」 のアイデアが織り込まれているそう・・・ (ここからは理系へびの説明): コンピューターの構造の基本はまず0と1、この二つの異なる状況を作り出すことから始まり、そしてその差異を認識して信号化する装置が必要となる。
この二つの異なる状況とは、電源ON/ OFF、りんごがひとつ/ ふたつ、など読み取り可能なものであれば何でもいいとのこと。つまりこの 「ケミカル・コンピューター」 では、溶液中の化学反応による化学物質の濃度差が0と1を代理する。この水槽内の化学反応は音として再生され、室内には心臓の鼓動のようにも聞こえる重低音が一定のリズムで響きわたる。コンピューター装置と人間の類似。ペルシャに古くから伝わるという人間の脳天から生える藪のイメージは、このコンピューター内で増殖する結晶の姿と重なり合う。(参考はココ)

transmediale ausstellung unfinish!
1月31日から2月4日まで。
ベルリン芸術アカデミー(Akademie der Künste, Hanseatenweg/ Tiergarten) にて
トランスメディアーレ2007/ 公式サイト

ちなみに昨年のホームページも凝ってて面白いので是非見てください。今年のも去年のもページ上部のイメージ部分をクリックすると音と絵が変わります。



0 件のコメント: