2008年6月21日土曜日

原爆ケーキ

マイ=トゥ・ペレ展

スイス出身の女性作家マイ=トゥ・ペレ (Mai-Thu Perret) の新作展。タイトルは 「ビキニ」。


2年ほど前に同じくバーバラ・ヴァイス画廊 (Galerie Barbara Weiss) でみた展覧会 「黙示バレエ (Apocalypse Ballet)」 のその後を期待して行ってきました。

前回は変なマネキン人形 (写真)、土偶みたいな粘土作品、精神世界な感じのドローイング、架空の設定で書かれたテキスト、などが陳列されていてすごく変だった。

この作家にはまず日記形式で書かれたテキスト作品 「The Crystal Frontier」 が前提としてある。そこで描写されるのは、ニューメキシコの砂漠のどこかに外界から隔離された若い女性達で形成されたオルタナティブなコミューン。そのテキストと共に、彼女達が宗教儀式で使用する道具や瞑想のためのドローイング、祝祭のダンスなどがオブジェ形式で展開される。

今回の作品は、1946年のビキニ環礁における原爆実験、その後ビキニと命名された大胆な水着モード(Wikipedia) 、事件の後のパーティーでの原爆ケーキなどがリファレンス (照会) されてます。

「The Crystal Frontier」 との前回の展覧会のような 直接の繋がりは一見無い様に見える。
しかし、フェミニズム (?)、黙示録的な想定、砂漠の連想 (コミューンと原爆実験の場所) と、底に流れるテーマやイメージは同一な様。

この作家のようなメディアの組み合わせ方、例えば架空の物語を想定してそれに関連するオブジェを制作するなど、は最近なにげによく見かける。でも奇異さ、複合して絡み合うリファレンス、その複合性によって導かれるテーマの奥行きはこの作家が今のところ一番。

展覧会は 2008年7月13日まで
火曜から土曜、11時から18時までオープン
Galerie Barbara Weiss
Zimmerstrasse 88-89
10117 Berlin

2008年6月7日土曜日

ホモセクシャル犠牲者のための追悼碑

ブランデンブルク門からポツダム広場の間にあるのは、「ヨーロッパにおけるユダヤ人犠牲者追悼碑 Denkmal für die ermordeten Juden Europas」。その真向かいの林をちょっと入ったところに最近一般公開されたのが 「ホモセクシャル犠牲者追悼碑 Denkmal für die ermordeten Homosexuellen」。

ユダヤ人のコンクリート石塊が多勢なのに対して、こちらはひとりぽつんと孤立。素材、形体、大きさが 「ユダヤ・・・」 と同じなだけに、犠牲者はユダヤ人だけでない、その影に隠れているホモセクシャルな人達の存在も忘れないで!というメッセージが読み取れます。

そういった、ユダヤ人がさも自分達だけが犠牲者であったかの様な自己アピールに反発する文脈から発生したプロジェクトだけに、ホモセクシャルな男性だけではなく、ホモセクシャルな女性 (レズビアン) のための記念碑も作るべきだとの論争が起きたり、また虐殺されたドイツ系ジプシーのための 「シンティ・ロマ人犠牲者追悼碑」 もユダヤ犠牲者記念館の近くに計画されてるそう。

ところで、この 「ホモセクシャル犠牲者追悼碑」 には窓が開いていて、中には白黒の映像が映写されています。キスをする二人の男性。
オブジェ自体は60年代ミニマルで、エンドレスな Kiss はウォーホル。

ベルリンには、様々なイデオロギーによる慰霊碑・記念碑がたくさんありますが、美術史から援用した造形言語を使いながらも、かなり分かりやすいメッセージを持つのがとても気になります。