2007年8月15日水曜日

デューラーの自画像

芸術家とは何者なのでしょうか?

芸術家は特別な力を持ち、凡人の想像を超えた世界を内包しているという考えはどこから来ているのでしょうか?

「天才」 とは現実に存在するのでしょうか?それとも私達の想像内に存在するのみで、その 「天才」 という概念を実在の人間にあてはめているだけなのでしょうか?

芸術家自身の強烈な自己表現、真正さの証明とみなされる奔放な言動、芸術家の生産行為を神の創造と同等として賞賛すること。

これら、今日の私達が芸術家に対して投影している人物像はちょっと考えてみるだけで全く根拠がなくずいぶん不合理な気がします。

芸術あるいは芸術家が特別な威力を持つという考えは、16世紀ドイツにおいて初めてデューラーが記しています。「人体のプロポーションについて」 という著作の中で彼は、偉大な芸術家は理論と実践、技巧と応用、それらの融合から人体を自在に形態化することができると述べています。

人物の形体をを思いのままに産出すること、これが神の創造と同一視されるのでしょうか?


芸術家である自身をキリストになぞらえて描いたデューラーの自画像。

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