2010年5月2日日曜日

意味が外部から付加されるとき

チリダとムーア

今日ベルリンにある、ドイツ連邦首相官邸の前に立つエドゥアルド・チリダの『ベルリン』(2000年)。ふたつの形体がお互いに絡み合うかのように屹立しています。



すでにお分かりのようにベルリンの東西分断を視覚化したものですが、こういった「ふたつ」のものを繋ぎ合わせたり対峙させたりする形体表現 (Formensprache) のタイプは、壁崩壊後のベルリンでのパプリック・アートの定石となっています。

こちらがポツダム広場にあるキース・ヘリング



同じくポツダム広場のロバート・ラウシェンバーグ



これはシュプレー川にたつジョナサン・ボロフスキーの『Molecule Man』



次にこちらが東西分裂時代の首都ボンの首相官邸(旧)前にあるヘンリー・ムーアの『large two forms』。そうです、ここでも「ふたつのかたち」が扱われています。



もう一度ベルリンのチリダを。



ドイツ民主主義共和国(東独)が崩壊し、ドイツ連邦共和国(西独)が旧東独地域まで拡大、連邦政府はボンからベルリンへ移動しました。ムーアとチリダの作品のフォルムの相似はこの政治権力移動の象徴といえます。

それにしても、このように「東西ドイツの象徴」として意味付けをしてしまうと、とたんに作品が図式化されてしまってつまらなく見えてしまいます。チリダやムーアのようなアブストラクトな作品は、そういった具体的な意味の付加に特に弱いといえます。

芸術作品の解釈はもっと開かれたもののはずでは、という問いが残ります。

同じことが、ノイエ・ヴァッへに設置されているケーテ・コルヴィッツのピエタ像にもいえるでしょう。


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本テーマは、現在ドイツ歴史博物館で開催中の展覧会「権力の誇示/統治戦略としての芸術」(Macht Zeigen. Kunst als Herrschaftsstrategie) にても扱われています。展覧会は2010年6月13日まで。公式サイト

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