2009年9月23日水曜日

フォン・トリアー『アンチクライスト』

ラース・フォン・トリアーの新作 『アンチクライスト』 を観て来ました。



ネタばれを含む感想 (読むには反転して下さい):

主人公夫婦がセックスに没頭している間、幼い息子は窓際のテーブルによじ登り、窓から転落して死亡する。それをきっかけに精神のバランスを崩した妻を自ら治療すべく、セラピストの夫は妻と共に森の中の別荘へと出かけていく。

深層心理と森のメタファーや 「3人の訪問者が揃ったら人が死ぬ」 といったシンボル性はなんとなくデヴィット・リンチ、妻が論文を書きながら精神のバランスを崩していく筋立ては 『シャイニング』 という感じがしました。

映画の後半で妻が見るフラッシュバックによって、実は彼女は息子が窓へとよじ登ってる姿を目撃していることが明かされます。そのシークエンスから、妻が息子を止めなかったという罪の意識からかえって性に憑りつかれ、また性を否定 (性器を傷つける) しようともする別レベルでのプロットが読み取り可能になります。

ただ、このエピソードは単純な種明かしに陥ってしまい、作品に謎めいた奥行きを与えるのではなく平坦にしてしまっているという感を受けました。

首を絞められるシャルロット・ゲンズブールがリアル。

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