音と映像をつなぐ媒介
トランスメディアーレ会場の一部で行われていたスペイン人DJグループのショー (reacTable) 。テーブルの上に置かれた透明アクリル製のキューブやプレートは各々リズムや音階などの制御を担当していて、各自が自由に動かせるようになっている。動かす度に、テーブル上に映写される幾何学的な記号がカラフルにリズミカルに変化して、それと呼応してスピーカーからサウンドも変化していく。大人から子供みんな楽しく動かして遊んでいた。
ここでこの仕組みを説明してくれたのがへび。このテーブルが銀行にあるタッチパネルのようなインターフェイスの役割を果たし、テーブルの下からカメラで机上のオブジェの動きを読み取り、コンピューターがそれを音と映像に変換しているそうな。聞いてみれば当たり前のようなことだけれど、それを聞いてしまった私はがっかりした。知らなかったうちは、まるで自分がDJになってターンテーブル上に表れる記号をサイコロで操作して音を操っているみたいな錯覚があって、記号と音とが共鳴しあってると信じてた。でもその私が思い描いていた音と映像の共鳴は実際はコンピューターのプログラムを介したもの。結局は数字に変換されるもの。それってまるで人を騙してるみたいと憤慨すると、それは人間にいいんだとへび。実際にこのテーブルの下に設置されたコンピューターがやっているようなことは人間の脳もやっていること。映像と音、この異質の情報源をイメージ化して勝手に結びつけているのは人間の脳。音楽と映像をイメージ化してお互いに繋げ合う自分の脳の働きを人間が知る必要がないように、コンピューター制御のしくみを知る必要も全くない。そうなんだ。音と映像を結びつけて特定のイメージにして感動出来るのはだから人間だけなんだ。この人間の能力はカントのいう 「構想力」 と関係があるのかしら。
反省: 今回は展覧会だけ見るために最終日に慌てて行ったので、人が多かったしゆっくり観れなかった。来年は事前にチェックしてイベントやコンサートにも参加してみようと思う。
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