2007年2月25日日曜日

もうすぐ春


オストクロイツ駅近くのある曲がり角にて。

旧東ドイツの公共オブジェはこんなほのぼのとした庶民派ものが多いです。メルヘンのモチーフなんかがよく見られるのは、労働者が主権を持つ国家では政治的支配者の像なんかは立てまいという社会主義の考え方が、多かれ少なかれ影響してるらしいです。でもその同じ思考回路から、城とか教会などの歴史的建造物が壊されてしまったりもしたらしい。ベルリン大聖堂の前に建っていた城とかライプチヒのパウリーナー教会とか。

ベルリン市城は戦後の社会主義ドイツにおいて、プロイセンの絶対政治を象徴するからと非難され取り壊され、その跡地には「文化宮殿」 と呼ばれる市民のための文化複合施設が建てられた。その旧東独の文化宮殿はドイツ統一後またもや取り壊され、現在はまたかつての城をそこに再建しようと一部の人々が資金を集めたりしてがんばってるらしい。でもその文化宮殿を取り壊す考えと、かつてベルリン城を取り壊した考えの根っこは全く同じでは、という疑問もわく。しかもそこにまた昔の城を建てるとは。

ライプチヒ大学の正面、レーニン・マルクスのレリーフの掛かる壁面にはそのレリーフを覆うように赤い三角形の鉄枠が架けられている。その形状は、かつてそこに建っていたパウリーナー教会の屋根のかたちを模す。パウリーナー教会はもともとライプチヒ大学付属の教会だったが、マルクス主義の考え方から学問 (科学) と宗教とが一体となっていることが批判され、取り壊されたのだそう。ここも再建運動が起きてるらしい。

ついこの間までの過去をとことん否定してもみ消そうとやっきになり、それよりさらに遡った過去にここまでこだわるのって、ちょっと考えが逆転してるようでこわい気が・・・。でもどうなんでしょう。古い町並みを歩くのは (それが作り物とわかってても) やっぱり落ち着きますし、東ドイツのプラッテンバウはキッチュとして大目にみてもやっぱり醜いことが多いですし。

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