二つ目の物語レベル
癌で余命幾ばくもないことを宣告された23歳の女主人公が、死ぬ前にしたいことをノートに書き上げそれを実行に移していくストーリー。2人のまだ幼い子供たちが18歳になるまで毎年誕生日にテープに吹き込んだメッセージを受け取るよう工面し、夫と子供のために新しい女性を見つけ、刑務所にいる父親に会いに行き、見知らぬ男性と恋愛をしてみる。映画そのものは彼女の最期を見ることのないまま終わってしまう。
見終わった直後は突然のラストに、あれ、とちょっととまどったけど、一晩寝て起きた後にいい映画だったかもと思った。主人公は自分がこの世から居なくなってしまった後にも続いていくであろう親しい人たちの人生に想いを馳せ、その想定する未来に拠って行動する。主人公の行動を描写するベースとなるストーリーの基盤上に、主人公が思い描く未来が見えない物語層として重ねられている。主人公が死後未来を見ることが出来ないのと同じように、観客もまた主人公に感情移入しながら、決して見ることのない映画終了後の未来に想いを馳せる。物語構造が重層化されていてそれが作品の厚みになっている。原題は 「My life without me」 (私が居ない私の人生)。ちょっとだけポイントずれてる商業用日本語タイトルが私を悲しくする。
「死ぬまでにしたい10のこと」 公式ホームページ
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