2010年5月27日木曜日

ベルリンのアーチスト

ベルリンといえば、アート、なのでしょうか。

外からの一般的な認識はよくわかりませんが、ここにとても多くの芸術関係者が住んで活動していることは本当です。ただいえるのは、ギャラリーなどをまわってみると分かるのですが、シリアスなファインアートから保守サブカルまで様々なレベルが同等に顔を並べているということ。また成功している人の場合、ベルリンには居を構えているだけで実際の活動はケルンなど経済と文化のバランスが取れている街で行っている、という事実が目につきます。

ベルリンで制作・活動をするオラファー・エリアソン。TIP のインタビューで彼が、ベルリンの若いアーチストが抱える問題について語っています。芸術の領域では、社会的成功を個人の才能に帰結させることが通念となっていますが、エリアソンの物事をあくまでも社会構造的に捉えており、その姿勢自体が彼の成功の秘訣を物語っているようです。

以下はインタビュー記事:http://www.tip-berlin.de/kultur-und-freizeit-kunst-und-museen/interview-mit-dem-spektakularen-kunstler-olafur-eliasson-teil-2 からの抜粋。

ELIASSON:ここ(ベルリン)には数千もの芸術家がいることで、巨大かつ非慣習的なアートシーンが出現しています。大きな問題はしかし、この街が、過去二十年間(東西統一以降)機能するインフラストラクチャーを構築できなかったことです。つまり、サブカルチャー層のすぐ上にもうひとつ別のアーチスト層を形成することができなかったのです。現在では残念なことに、二極化がさらに進んでいます。ベルリンには一方で国際的名声のある芸術家が住んでいますが、その下には非常に大きな空洞があります。そしてさらに下に、信じられないほど大きなサブカルチャー、美術大学を卒業したばかりの若い芸術家たちがいます。彼らは既成のシステムに入ることができないでいるのです。

TIP:何がうまく作動していないのでしょうか?

ELIASSON:この破綻は、過去二十年間に起こったことです。ベルリンの公共美術館が独自性を見つけられなかったと言っているのではありません。この街に「システム」が存在しないことが破綻の原因なのです。問題となるのは、ひとりのアーチストが底辺からどうやって上に登るのか、最上階まで上り詰めるとまではいかないにしても少なくともインターナショナルな成功を収めるにはどうしたらいいのか、一歩一歩登るための梯子はどこにあるのか、といったことです。

0 件のコメント: