身体とオブジェの関係
アメリカのミニマル彫刻家ロナルド・ブラーデン (Ronald Bladen 1918-1988) の展覧会。
UNTITLED (CURVE), 1969
観客が中に立って体験する彫刻。オブジェの中に立って外を眺めると背後から威圧感が。
メルロ・ポンティの現象学の影響華やかなりし時代。彫刻でも身体との関係性を重視し始めます。
THREE ELEMENTS, 1965年
この作品も鑑賞者を取り込みます。黒く塗られたベニヤ板と、斜面はアルミ板。アルミ板は光を反射してる。この環境と共鳴する質感は、ベニヤ板の持つがっしりと跳ね返すような存在感とはまた違った印象を与えます。
ミニマルの元祖ロバート・モリスの柱 (1961年) と比較。
モリスはモダンダンスから出発してオブジェにたどり着きます。柱を一本ダンサーの代わりに舞台に立て、舞台の裾から紐で引っ張って倒しました。このパフォーマンスの数年後、この2本の柱が彫刻作品としてギャラリーに展示されます。
ブラーデンの柱で上辺の切り口が床面と水平ではないのはなぜでしょう?そのために柱が床に埋まってるようにも見え、さらにそこから展覧会場の建物自体までもが作品に取り込まれてるようにもみえます。それに、今にも倒れてきそうで、間に立ってみるとかなり危ない感じがします。・・・それにしても、どうして2本ではなく、3本なんでしょう?
THE CATHEDRAL EVENING, 1969/1971年
3本柱の向こうに見えるのが、戦車を想わせる、重量感と威圧感のあるオブジェ。
ROCKERS, 1965年
このオブジェだけはなぜか、他の作品とは違って観客が中に入り込めないようになっている。カーブを描く底面には板が挟めて固定してある。これを外せばオブジェが前に倒れてしまうという感覚を起こさせる。また、他の作品が白黒モノトーンなのに対して、これはエナメル質の塗料で黄と黒に塗り分けられている。ここから連想するのは交通標記や工事現場の色、危険や注意を促す機能を持つ色。オブジェの周りをうろうろしすぎて疲れたと思ったら、ちょうど腰掛けられる高さ。タイトルはRockers (ロッキング・チェア)。
いい展覧会だった。 (と、わたしの年代では思ってしまう。ただの懐古趣味?)
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展覧会INFO
ロナルド・ブラーデン 展
新ナショナル・ギャラリー、 ベルリン
Ronald Bladen / SkulpturNeue Nationalgalerie
2007年5月6日まで
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