Rodney LaTourelle
ギャラリーに設置されたインスタレーション。ちょうど人一人が通れる狭い入り口を入るとそこはピンクと白のストライプの世界。ヨーゼフ・アルバースの色面絵画やバーネットニューマンのストライプ絵画の中に入り込んだよう。内部は3つの細長い空間に仕切られていて、次の空間への通路とストライプの色面との判別はつきにくく (写真の右側の壁を良く見てください) だまし絵のようになっていて、鑑賞者は内部を動き回りながら自分でその通路を発見することになる。
入り口を入ってすぐの部屋はピンク X ホワイトのストライプ。白部分が少し光沢のあるペイントで壁表面の物質感が感じられるのに対し、ピンク部分はマットに処理されていて光を吸収し、物質感が消え色自体が奥行きを持つ。内部に入って左には、自然光を採り入れる窓があり、ここではもともと展覧会場にあった条件が作品に計算高く取り込まれている。入って右にはピンク色のネオン灯に照らし出される小空間がくりぬかれている。窓からの自然光とネオンの人工光は、色面に異なった表情を与える。そのピンクのネオン管に灯された小部屋はちょうど人間一人が入り込んで座れるように、台が設置されている。この光の小部屋はジェイムズ・タレルの光の絵画を想わせ、「色」 はここでさらに非物質的なものとして体験される。また、ちょうど人間サイズの空間はロバート・モリスの 「擬人感」 を想わせ、ここで作者の意図的な出発点が明確になる。
次の部屋はグリーン X ホワイトのストライプだが、なんとなく部屋の印象が薄暗い。感覚を思い切り研ぎ澄まして色面を観察すると、白だと思ってたの色面は青味がかったグレー。また、黄緑一色だと思っていた色面もよく見るとそこには紫が微妙に混ざり、ピンクのネオンの反射と同一化して、通路の凹みを気づきにくくしている。
最後の部屋はシルバー X ホワイトのストライプ。シルバーという、モノクロームでありながら光沢のある、今までの色面とは質の異なる組み合わせがされている。蛍光灯のピンクの光も銀色の色面に反射され、白い壁面に対してその質感が際立つ。
最後に同じ経路を辿ってインスタレーションの外に出てみて初めて、内部に入る前に持ってた期待に対して、ずいぶんのっぺりした平面的な空間だった、と思う。そうしてみると、まるで絵画キャンバスの裏側を見るような、このそっけない建てっぱなしの外観に、あ、この作品は立体でありながら絵画的イリュージョンの問題を扱っているんだと気づく。
Rodney LaTourelle: "in the absence of unambiguous criteria"
(von 11.01.2007 bis 01.03.2007)
PROGRAM :: initiative for art + architectural collaborations
Invalidenstraße 115, 10115 Berlin Mitte
アーチスト INFO:
http://www.canadianarchitect.com/issues/ISarticle.asp?id=70733&story_id=CA133294&issue=02012002&PC=
展覧会 INFO:
http://www.programonline.de/
1 件のコメント:
なるほどー。そうだったんだー。
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