2008年6月7日土曜日

ホモセクシャル犠牲者のための追悼碑

ブランデンブルク門からポツダム広場の間にあるのは、「ヨーロッパにおけるユダヤ人犠牲者追悼碑 Denkmal für die ermordeten Juden Europas」。その真向かいの林をちょっと入ったところに最近一般公開されたのが 「ホモセクシャル犠牲者追悼碑 Denkmal für die ermordeten Homosexuellen」。

ユダヤ人のコンクリート石塊が多勢なのに対して、こちらはひとりぽつんと孤立。素材、形体、大きさが 「ユダヤ・・・」 と同じなだけに、犠牲者はユダヤ人だけでない、その影に隠れているホモセクシャルな人達の存在も忘れないで!というメッセージが読み取れます。

そういった、ユダヤ人がさも自分達だけが犠牲者であったかの様な自己アピールに反発する文脈から発生したプロジェクトだけに、ホモセクシャルな男性だけではなく、ホモセクシャルな女性 (レズビアン) のための記念碑も作るべきだとの論争が起きたり、また虐殺されたドイツ系ジプシーのための 「シンティ・ロマ人犠牲者追悼碑」 もユダヤ犠牲者記念館の近くに計画されてるそう。

ところで、この 「ホモセクシャル犠牲者追悼碑」 には窓が開いていて、中には白黒の映像が映写されています。キスをする二人の男性。
オブジェ自体は60年代ミニマルで、エンドレスな Kiss はウォーホル。

ベルリンには、様々なイデオロギーによる慰霊碑・記念碑がたくさんありますが、美術史から援用した造形言語を使いながらも、かなり分かりやすいメッセージを持つのがとても気になります。

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