透明な建物の内と外に設置されたオブジェ。
ガラスの一部がペイントで曇らされ、作品になってる。
これはこれでシンプルでおもしろいと思ったけど、残念ながら、単独の作品かミクスド・メディア・インスタレーションの一部かは、作品からは分かりませんでした。
それとはうって変わって、下の3枚の写真に見られるインスタレーションは、技法がばらばらにもかかわらず、同じコンセプトに基づく作品ということが瞭然としてました。
ミースのガラスの外壁には、ナイロンのいかにも安そうなカーテン。レトロな模様付きです。
その向かい側、ミースの換気装置 (緑色の大理石製) には、大理石板が何枚か立て掛けられており、その版上には、絵の具で壁紙のような装飾模様が手作業で描かれています。
ミースの換気装置の大理石が自然な模様を持つのに対して、こちらの模様は人工的。
カーテンが工業製品なのに対して、大理石版の装飾模様は手工芸的。
相反概念による構成が徹底してます。
描かれた壁紙模様が、ナイロンのカーテンと共にまるで住居内のような雰囲気 (プライベート) をかもし出し、美術館から 「オフィシャルな場」 という機能を剥奪しようという意図が感じられます。
大理石の前には、仮説の展示パネルが置かれ、そこには壁紙模様のドローイングや、インテリア雑誌からの切り抜きコラージュなんかが掛けられていました。
カタログによると、この美術館が建てられ、初めての展覧会はモンドリアン展で、ミースのコンセプトでこのガラスのホールに展示パネルが設置されたのだそう。
どういう脈絡かは私にはいまいちぴんとこなかったけど、とにかくそのエピソードに作者はレファレンスしたかったらしい。
モンドリアンだから、ミースとひっくるめてモダニズム批判かしら。壁紙模様がテーマだし。ミースの建築にアンチテーゼ示してるし。
作者はMarc Camille Chaimowicz、フランス人らしい 。タイトルは 「For MVR」。MVR はどう考えてもミース・ファン・デル・ローエでしょう。
見ただけではわからないようなエピソード (例えばモンドリアンの展覧会とか、アイリーン・グレイとコルビュジェの相克とか) に頼りすぎの感はあるけれど、みなさん、本当にいろいろ考えてて関心します。
美術は、ただ美しく佇むだけではなく、「正しく」 あろうとしてるようです。
1 件のコメント:
こんにちは。
私もノイエ・ナショナルギャラリーに行ってきました。
へびおんなさんの記事を読んで行ったのでとても参考になりました。私のブログでも紹介させていただきましたので、お知らせします。あたらしアート記事を楽しみにしています。
yumazzo
コメントを投稿